ティーチャー中谷のゴルフしタイぞう！

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千里の道も一歩から・・・
実は最初のタイでの筆下ろしは、いえ、違いました、最初のタイでのゴルフプレーはこのコースだったのです。
我が愛しのユニコではなかったのでした。



１４年前の写真です。
記念すべきタイゴルフ１枚目の写真です。
若いです。
まだ今のように図々しくありません。
キャディさんの手など握ったこともありません。

そして、全国制覇の歩みはここから始まったのです。

一歩目です。

この時は、『タイにもゴルフ場があるのですか？』などと馬鹿な質問をしていました。
今考えると恥ずかしい限りです。
そして、案内してもらったこのコース＜バンパコンリバーサイド＞がタイで一番良いコースなのだと思っていました。
１４年後の今日の私の姿など想像も出来ない頃です。
出来るわけがありません。
きっとこの頃は、秘書役は引越し屋さんでアルバイトしながらキックボクシングジムへ通う学生さん、トンディさんは長距離専門トラックの運ちゃんをしていたに違いありません。
タイは何度も誘われながらも断り続けていましたが、ついに断れきれなくなってしまい、私は一度限りのタイ旅行と思って出かけたのです。
真実を何も知らないのに、間違った固定観念でタイを避けていました。

それが・・・なんと・・・月日は流れ・・・あっと言う間の１４年、この長い年月とタイという国が私を変えてくれました。
今ではすっかり、キャディさん命！　いえ、タイゴルフ場全国制覇命！です。



その一歩目、初めて私をタイへ案内してくれた恩師が私の暫定制覇を祝ってわざわざ日本から駆けつけてくれました。
恩師はムアンケオのメンバーさんなのですが、今回は暫定制覇を記念して特別に私の初プレーコースへ行きましょう、と言ってくれました。
有難いことです。

恩師の前では、何故か私の体は小さくなるのです。
いつものような大きな態度はとれません。
タイゴルフデビューから１４年経った今の私は、生意気にも、「タイゴルフは・・・」、「タニヤは・・・」、「パッポンは・・・」、などと偉そうに知ったかぶりをしておりますが、初めは全てこの恩師が案内して教えてくれたのです。
恩師なくして私のタイは有り得ませんでした。

ささやかな恩返しプレーです。
私が案内致します。
このコース、４度目のプレーになりますが今回初めて予約をしました。
恩師同伴で飛び込みプレーはいけません。
正しい手順を踏みます。
私は厚かましい人間かもしれませんがTPOくらいはわかります。
少しは成長し落ち着きのある私の姿を見せなければいけません。
今日だけの限定ではありますが心を入れ替えて真面目にプレーをさせていただきました。

プレー中、昔話しに花が咲きました。
タイ経済成長の話しやバーツの問題、交通事情の変化など真面目な話しです。
私の得意分野である未亡人キャディさんやタニヤの現状についての話しは全く出ません。
わかりますか、秘書役。

私も真面目な話しをするのです。
ただ、久しぶりなだけです。
わかりますか、秘書役。

恩師とのプレーで心を入れ替え、初心を思い出し、心身ともに清らかに真面目になったところで今回の合宿を終わることに致します。



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３２回目のプレーでつまらない計算をしてしまいました。
このコースでのプレーテーマは池ポチャ５個以内で１００切りです。
いつも５個は打ち込みます。
何故か打ち込むのです。
入りやすいのです。

　このコース　池を逃げても池に入れ　その数なんと１６０

今までこのコースに於ける紛失球の計算です。
警察に紛失届けを出せるくらいの立派な紛失数です。

平均５個　ｘ　３２ラウンド　＝　な、なんと、１６０個・・・１３ダースと４個になります。

もしもニューボール１個７００円としたならば、

７００　ｘ　１６０個　＝　１１万２千円　です。

私の場合は１個１００円のボールですから、

１００　ｘ　１６０個　＝　１万６千円　で済んでおります。

バンコク近郊のコースは平坦で、「穴を掘れば池となり、溝を掘れば川となる」と言われるほどゴルフコースに適した地形で、多くの水気コースがあります。
『池が怖くてタイゴルフが出来るか！』と、胸を張って打ち込みます。

なぜこのようなつまらない計算をしたかと言うと、私は現在タイゴルフ場の池とクリーク、つまり水気についての研究をしているからです。
可愛い池、意地悪な池、美しい池、隠れた池、昔は池で今はブッシュな池、晩御飯用の魚釣りが出来る池、そうです、一口に池と言ってもいろいろな池があるのです。
可愛い川、意地悪な川、水の無い川、キックするクリーク、フェアウェイか川かわからない川、グリーンを横切る川、そうです、一口に川と言ってもいろいろな川があるのです。
いずれにしても日本ではお目にかかれない特徴のある水気に出会えます。

いろいろなコースを回りましたが、私にとって池ポチャ率断トツナンバー１のコースがここ「クルンテープクリータ」なのです。
前後左右、ロングホールで３本のクリーク、と水気は私を待っております。
水気よりも色気に待っていてもらいたいのですが、そのようなことはありません。
私はこのコースの売店では私はボールを買いません。
自分のボールに再び出会いそうな気がするからです。
縁を切った球との復縁は望みません。


ひとり反省会を開いていると聞かれました。

『今日は何個ですか？』


『・・・５個』


私は誠実な男なのです。
忠実なのです。
道を外すことのできない人間なのです。

大きなお世話です。
放っておいてください。



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私の全国制覇をサポートしてくれる運転手さんのトンディさんには苦労の掛け通しです。
私のタイゴルフ物語はこの人なくしては語れません。
今では遠い親戚以上の兄弟関係です。
今日はトンディさんのためのゴルフ場を選びました。
・・・という大義名分。

運転手さんが会いたいキャディさんがいるコースです。
本当は私の赤い糸キャディさんなのですが、今ではなぜかトンディさんの奥さん公認の糸になりつつあります。
気が合うようです。
他のコースのキャディさんとはこんなに仲良くありませんから。
私と三人で三角関係の糸です。

トンディさん、いつものように朝５時にキャディさんにモーニングコールを入れます。
コースの近くまで来てさらに２度目の電話をしています。

トンディさん、来客用駐車場を通過して従業員用駐車場に車を停め、ゴルフバックをカートに積んでいます。
非常にスムースです。
スムースなのですが、なぜ従業員用駐車場で、しかもトンディさんがカーとにバッグを積んでいるのでしょうか。
よくわかりませんが、それで私が何か迷惑を被るわけでもありませんので、深くは考えずにそのままにしておきます。
さっきの電話は「少し遅れるから準備お願い！」という電話だったのでしょうか？
遅刻のキャディさんに変わりトンディさんが全ての準備を整えております。
長いお付き合いです。
するに任せておきます。

流れのままに私は裏口から侵入し、いえ、ロビーへ向かい支払いを済ませます。

スタート準備完了です。
私はスタート準備完了なのですが、キャディさんだけがおりません。

他のキャディさんからの白い視線を感じます。

この視線にはもう慣れました、３２回目のプレーです。
最近ではこの白い視線に快感さえ感じ始めています。

さて、遅れてきた赤い糸キャディさん、トンディさんに大きな袋のプレゼントを持参しながら、笑顔で走ってやって来ました。
私にはありません。
トンディさんだけです。
いったいなにが入っているのでしょうか。
気になります。
まさか、手作りケーキとかじゃないでしょうね？
タイ人は田舎から送られてきた特産品や近所で取れる食べ物、地方名産とまでいかなくても、近所の朝市で買ってきた新鮮な野菜や果物などを惜しげもなく友人知人に配ったりするのです。
もちろん私はゴルフに来て野菜などもらっても困るのですが、多分この辺りで取れたおいしいものをトンディさんにプレゼントしているのでしょう。
それがタイ人同士の親しいお付き合いというものです。
日本も昔はそうでした。
今でも田舎に行くと当たり前のことです。
タイ語の挨拶と言えば私達は『サワディー』と覚えていますが、これは確か後発的な言葉であったと記憶しています。
もっと近代的なかっこいい挨拶はないかとテレビ局がプロモートした言葉だと何かで読んだことがあります。
本当のところはよく知りませんが、それはそれとして、一般タイ人が慣用句として普段使っている挨拶と言えば『ご飯食べた？』です。
『だからなに？』という気も少ししますが、しかし相手を気遣ったほのぼのとした良い挨拶ではありませんか。
ですから、タイ人に『ご飯食べた？』と聞かれても、特に深い意味はありませんので、いちいち気にすることはありません。
私など同じ人との１０分ほどの会話の中で５回くらい『ご飯食べた？』と聞かれたことがあります。
『この人、そんなにお腹空いてるのかな？』と一瞬思いましたが、なんのことはない、自分だけ喋っているので私の話しを全く聞いてなかったというだけのことでした。


さて、一方のゴルフですが、キャディさんの遅刻で一番スタートを逃してしまいました。
このコース、一番スタートを逃すと苦労の多いコースなのです。
なぜなら、空いてるホールのプレーを許してくれないからです。
しかし私はキャディさんを責めるようなことは致しません。
心を落ち着けた私は一番ホールでOKバーディです。
どうだ、参ったか。
キャディさんも驚いています。
私は刺激されると実力を発揮するのです。

しかし私の実力は長持ち致しません。
次のホールからはいつもと同じです。

私のボールはなぜか池に入るのです・・・



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